契約期間中の途中解約2

2年契約の物件だが、事情により、契約期間の途中で退去することになり、

家主に「来月退去する」と言ったところ、

「途中解約するには、退去予定月の3ヶ月前までに連絡することになっている。

どうしても来月退去するなら、2か月分の違約金を支払ってもらう」と言ってきた。

びっくりして契約内容を確認したところ、確かに、「3ヶ月前までに通知すること」となっていた。

次の物件への引越し代も必要なので違約金まで支払いたくないが、支払う義務はあるのか?

(回答)

契約期間を定めた契約で、かつ、契約期間中の途中解約権を特約として認めた契約ですが、

解約通知時期については、特約として自由に定めることができます。

そこで、解約通知時期を見ると、「3ヶ月前までに通知する」となっており、

この規定は、契約期間を定めない場合における通知時期と同じですので、

法的にも何ら問題ないものとみなされます。

したがって、この特約は有効となりますので、

家主の言うとおりの違約金を支払わなければならないのです。

造作買取請求権

エアコン取付時100Wを200Wに変更、取付時は説明もなく変更に貸主合意。

退去前になって100Wに戻すように言われた。

取付時は説明なく合意したのに退去前になっての消費者負担請求は

消費者の義務を加重し、その利益を一方的に害するものに当たらないのでしょうか?

賃借人がもっぱら自分の都合で自己使用の都合上、有益な改良として

物件自体の増加した限度でその改良に応じた有益費の支払いとして請求できないでしょうか?

(回答)

これは造作買取請求権についての問題です。

賃貸借契約書に造作買取請求権を行使しないとの特約の有無の確認が必要です。

設備増強で、かえって利便性を高めており、それをわざわざ元に戻すことの合理性はないとの考えもあります。

例としてですが、UR都市機構では入居者が電気容量を増設した場合、原状回復は免除しています。

電気容量の増設は、造作としての概念で、有益費には該当しません。

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一般的な説明ですが。

1.造作

まず、問題となるのは、借地借家法にいう造作の意味・範囲です。

造作とは、「貸主の同意を得て(賃借人が)建物に付加した畳、建具その他の造作」のことをいいますが、

講学的には建物に付加され、建物の使用に客観的便益を与えるものと解されています。

したがって、家具は建物に付加されているわけではありませんので、造作には含まれません。

具体的には、畳、建具(障子、ふすま、雨戸)のほか、作りつけの戸棚、

エアコンなどの電気設備、ガス設備、水道設備、物干し台、商店の陳列棚などがあります。

ただし、トイレを水洗式にした(あるいは和式を様式にした)場合などのように建物に付加したものが

建物の一部となってしまった場合には、造作には含まれず、有益費の問題となります。

2.家主の同意があること

造作は家主の同意を得て造作を取り付けたことが必要です。

3.賃貸借契約が期間の満了、また解約の申し入れによって終了したこと

借家人に家賃の不払いその他の契約違反があるために、賃貸借契約が解除された場合には、

造作買取請求権は認められません。

造作買取請求権はあくまで「善良な借家人の保護」を目的としているからです。

4.賃貸借契約書に造作買取請求権排除の特約がないこと

造作買取請求権に関する規定は任意規定(当事者間の契約の方が優先される)です。

したがって、特約で排除(家主が造作を買い取らなくてもよい)されている場合には、

造作買取請求権を行使することはできません。

なお、市販の賃貸借契約書などでは、「造作買取請求権は行使しない」という

特約が入っていることが多いようです。

★UR都市機構の例

入居者が電気容量を増設した場合、原状回復は免除しています。

http://www.ur-net.go.jp/kyojyusha/report/moyougae-koumoku.html

賃借権の相続4

民間アパートに住んでいた父(借主・別居中)がなくなった。条件のよい物件であり、

遺産相続として引き継ぐことになったが、家主から、名義変更料を請求された。

支払いに応じなければならないか?

(回答)

賃借権は相続することができます。

相続権を行使することによって賃借人になることができるのですから、

家主の承諾も不要です。

つまり、名義変更料や他の名目であっても、

家主からの費用請求に応じる義務はないと考えます。

賃借権の相続3

公営住宅に住んでいた父(借主・別居中)がなくなった。

条件のよい物件であり、遺産相続として引き継ぎたいが、

名義変更を家主から拒否された。賃借権を相続することはできないか?

(回答)

前回で述べたように、賃借権は相続財産です。

したがって、相続人として、賃借権を引き継いで住むことができるのがふつうです。

ところが、公営住宅の場合は、ちょっと事情が異なります。

つまり、公営住宅は、経済的に困難な人たちに住む権利を保障するために

用意されているものですが、公営住宅にも相続権を認めた場合には、

例えば、高額所得者の相続人にも公営住宅に住むことができるようになってしまい、

本来の入居資格に合致しない人も入居できてしまうという不都合が発生してしまいます。

そこで、公営住宅においては、一般の賃借権の相続とは異なり、

相続権を認めないという解釈がされているのです。

賃借権の相続2

民間アパートに住んでいた父(借主・別居中)がなくなった。

条件のよい物件であり、遺産相続として引き継ぎたいが、

名義変更を家主から拒否された。

賃借権を相続することはできないか?

(回答)

前項で述べたように、賃借権は相続することができますが、

相続人が同居していたか別居していたかは問いません。

したがって、家主の意向に拘わらず、

相続人は賃借権を相続することができ、住む権利を持つのです。

賃借権の相続1

民間アパートに住んでいた父(借主・同居中)がなくなったので、

家主に、名義変更してそのまま住みたいと申し出たが拒否された。

退去せざるを得ないのか?

(回答)

民法では、6親等以内の血族と配偶者、3親等以内の姻族を

法律上の親族としていますので、

子供として、お父さんの財産の相続権があります。

お父さんが借主となって、民間アパートを借りていたわけですので、

子供は、住む権利(賃借権)を相続することができます。

相続権については、家主の承諾を得る必要はまったくありませんので、

家主は、相続人(子供)の住む権利を拒否することはできないことになっています。

名義変更そのものについては、してもしなくても住み続けることができますが、

契約更新の時点で名義変更を行ったほうがよいでしょう。

家賃の値上げ2

契約更新時に、周辺の物件は家賃が下がっているのに、

家主から「契約書に記載されている通り、

家賃を値上げする」という通告を受けたが、従わざるを得ないのか?

(回答)

契約書に家賃を自動的に値上げするというような条項がある場合、

その規定が自動的に認められるわけではありません。

実際には、どの程度の値上げ幅・金額であるのかが問題となります。

いくら、契約書に記載があるからと言って、まったく合理的な理由のない、

一方的かつ高額な家賃値上げは認められないでしょう。

なお、2001年4月以降の契約であれば、消費者契約法の

「消費者の利益を一方的に害する条項は無効である」という規定が

適用されますので、このような規定は許されないと考えるべきです。

家賃の値上げ1

契約更新時に、家主から「家賃を値上げする」という通告を受けたが、

拒否することができるか?

(回答)

まず、契約書に、家賃の値上げに関する事項が入っているかどうかを

確認する必要があります。もし、家賃値上げに関する事項があれば、

その内容によっては、ある程度拘束されることもあります。

しかし、本来、家賃は、家主と借主の合意で決定する事項ですし、

家主の一方的な通告では認めがたいものです。

家主が、一方的に通告してきたということですが、

その値上げ幅・値上げ金額が妥当ではないと思える場合には、

借地借家法の第32条に規定する借賃増減請求権にもとづいて、

家賃の一方的な値上げに対抗して、裁判で新しい家賃が確定するまでの間、

家賃を供託するという手段もあります。

ただし、裁判で家賃が確定するには、不動産鑑定士による家賃の査定が必要となり、

かなりの費用がかかってきますので、実際には、家主との話し合いで、

ある程度のところで妥協するほうが賢明でしょう。

更新拒絶4

家主が、「建物が古く建替えるので契約更新はしない」と言ってきた。

まだまだ十分住めると思うのだが、家主の言うとおり退去せざるを得ないのか?

(回答)

まず、家主から、入居者の退去を求める場合、契約終了の

1年前から6ヶ月前までの間に通告することと、正当事由が必要とされています。

従って、家主が通告してきた時期が問題となります。

もし、通告時期が、「契約終了の1年前から6ヶ月前までの間」でなければ、

そもそも正当事由の有無に関係なく、契約更新の拒絶そのものが認められなくなります。

通告自体が、適法に行われた場合には、正当事由があるかどうかという判断を

することになりますが、「建物が古く建替える」というのは、一見すると、

正当事由に見えるのですが、単に、「古い」というだけでは正当事由とは認められていません。

通常、建物が古くなり、「朽廃(きゅうはい)」とみなされるような場合には、

正当事由としてみなされますが、「朽廃(きゅうはい)」という状態は、

室内から青空が見えるようなぼろぼろの状態ですので、現代においては、

「朽廃(きゅうはい)」に近い建物を貸す家主もないでしょうし、借主もいないと思います。

従って、「朽廃(きゅうはい)」を理由にした正当事由が認められるケースは、

ほとんどないと思います。「朽廃(きゅうはい)」までには至らない場合でも、

自身による倒壊が非常に強いと判断されるような場合には、

正当事由として認められる可能性はあります。

また、まともな生活を送れるようにするためには、大修繕が必要でありながら、

大修繕しても、居住用の建物として利用できる期間が短い場合には、

大修繕する意味がないため、大修繕が必要になった場合には、

正当事由として認められる可能性が高くなります。

そこで、借主が、(大修繕を行わなくても)「まだまだ十分住めると思う」のであれば、

家主としての正当事由が認められる可能性は非常に低いと思われます。

それでも、家主が退去を求める場合には、上記(3)で述べたような

立退き料の支払いが条件となるでしょう。

従って、家主からの「建物が古く建替えるので契約更新はしない」という主張を

そのまま受け入れる必要はなく、契約更新することが可能です。

更新拒絶3

家主が、「自分の子供が結婚して住む」ということで、

更新拒絶の「正当事由がある」と言ってきたが、

退去したくなくても従う義務があるか?

(回答)

家主から、入居者の退去を求める場合、

契約終了の1年前から6ヶ月前までの間に通告することと、

正当事由が必要とされています。

通告期間が守られていなければ、正当事由の有無には関係なく、

家主から退去を求めることはできません。

通告が適法に行われた場合には、正当事由があるかどうかがポイントとなりますが、

家主の「自分の子供が結婚して住む」という事情は、正当事由の一部にはなりえても、

それだけでは正当事由として認められるわけではありません。

借地借家法の第28条によれば、「建物の賃貸人及び賃借人

(転借人を含む。以下この条において同じ。)が

建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、

建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は

建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合に

おけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、

することができない」とされており、これらの事情を総合的に考慮して、

家主としての正当事由があるかどうかが判断されるのですが、

通常は、財産上の給付、すなわち、立退き料を支払うことで

正当事由を補完することでようやく認められることが多いのです。

従って、家主に対しては、上記の説明を行い、どうしても退去を求めるというのであれば、

相当額の立退き料(同じ地域にある同等物件に引越するために必要な諸費用で、

一般的には、家賃の6か月分程度は必要とされています)

を支払うように求めたほうがよいでしょう。

どうしても住み続けたいという場合には、家主からの要求を退ければ、

そのまま住み続けることができるでしょう。

その場合、家主としては、法的手段に訴えることになりますが、裁判などでは、

上記の考え方に沿って、正当事由があるかどうかを判断するでしょう。