他の入居者との家賃の違い3

同じ条件で入居していた人が、家主との交渉で、家賃の値下げをしてもらったという。

そこで、同じように、家主に交渉したところ、

「家賃の値下げをした人がいるからといって、事情も違うし、

同じように家賃の値下げに応じるつもりはない。」と一蹴されてしまった。

「では、その事情を教えてほしい」と言ったが、

それも、「個人のプライバシーに関わることなので話すことはできない」と言われた。

自分だけ、家賃の値下げをしてもらえないのは、不公平だと思うのだが、何とかならないか?

(回答)

借主には、家賃の値下げを要求する権利はあります。

しかし、どんな場合にも、家賃の値下げを要求できるわけではなく、

あくまで、不合理な家賃となった場合には、それを是正する権利があるに過ぎません。

家賃の値下げを勝ち取った人がいるからといって、

誰も彼もが同じように家賃の値下げをする権利があるわけではありません。

そして、家主が主張しているように、ほかの人の家賃を下げた理由について、

第三者(ご相談者)に説明しなければならない義務があるとはいえません。

家賃の値下げを要求したいのであれば、他の人の家賃値下げに関係なく、

ご相談者自身の部屋の家賃が不当に高くなっているということをきちんと説明し、

家主に家賃の値下げを受け入れてもらえるように交渉しなければなりません。

他の入居者との家賃の違い2

入居中、同じ間取りなのに、他の人よりも家賃が高いことがわかった。

そこで、家主に、「同じ間取りで安い家賃の人もいるので、

それに合わせて値下げしてほしい」と言ったが拒否された。

(回答)

借地借家法第32条では、

「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、

土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、

又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、

当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。」としています。

つまり、法律上、家主にも、借主にも、家賃を増減する権利が認められているわけです。

「同じ間取りで」ということは、

「近傍同種の建物の借賃」ということと同じようにみなすことができますので、

同じ間取りにもかかわらず、ご相談者の部屋の家賃があまりにも高すぎる

というような場合には、「家賃を下げてほしい」という要求をすることができます。

しかし、「たまたま同じ間取りなのに家賃が安い人がいる」のか、

それとも、ご相談者の部屋のみが高すぎるのかによっても、

家主の対応は異なってくるでしょう。

また、たとえ、同じ間取りであっても、所在階や窓向きなどによっても、

家賃が異なるケースはよくありますので、誰が考えても、

不合理なほどの家賃の開きがあるかどうかがポイントになるでしょう。

もし、誰が考えても、不当なほどの家賃の開きがあるのなら、

家主に率直に家賃の値下げをお願いしてみてはどうでしょうか

他の入居者との家賃の違い1

住んでいる物件の他の部屋の入居者募集がが数千円安くなっていた。

そこで、管理会社に、家賃減額をお願いしたら、

「いやなら退去してもよい」と言われてしまった。

何とか、家賃減額を勝ち取る方法はないのでしょうか?

(回答)

借地借家法上、近傍同種の物件と比較して、家賃が不相当となった場合には、

家主・借主のどちら側にも、賃料の増減請求権が認められています。

したがって、法的には、家賃の値下げ交渉を行う権利がありますが、

だからといって、素直に家賃値下げに応じてくれるかどうかは別問題です。

管理会社が、「退去していい」と言っているとのことですが、

本気でそのように言うはずはありません。

退去者が出ても、「満室保証」などを行っていない、通常の管理委託契約であれば、

管理会社自体の収入はダウンしませんが、家主の収入は明らかにダウンします。

万一、家主の収入ダウンを促進するようなことを、管理会社が行えば、

家主に対する背信行為となります。

家賃値下げ交渉は、管理会社を相手にしても、あまり意味がありません。

家主に対して行ったほうがよいでしょう。

管理会社との交渉がうまくいかなくなったときには、

家主と直接交渉するほうがよいかもしれません。

家賃滞納2

契約書には「家賃を3ヶ月分以上滞納すれば即刻退去させる」と書かれていたが、

うっかりして家賃を3か月分滞納してしまったところ、

家主から、「契約違反なので、違約金を支払って退去してもらう」という通告を受けてしまった。

契約書に明記されているのであれば、泣く泣く退去するしかないのでしょうか?

(回答)

前項で解説しているように、家賃の滞納による契約解除は、

契約書に記載されている通りに行うことはできず、家主と借主との間に、

「信頼関係がなくなってしまった」というような状況になって初めて、

契約解除が可能であると解釈されています。

その観点から相談内容を見ると、確かに、借主は3ヶ月間家賃を滞納していたわけですが、

「うっかりして」いたということが、ひとつのポイントになります。

つまり、借主が家賃を滞納している間、家主は、借主に対して、

一度も家賃の督促を行わなかったようなのです。

借主からすれば、わざと滞納を続けていたというよりも、うっかりミスにより、

家賃の滞納が続いてしまったということですが、こういうケースはけっこうあるものです。

例えば、学生などの場合、家賃の支払いが、契約者本人が支払うのではなく、

実家から振込をすることになっているようなケースがありますが、

実家からの振込がうっかりミスで滞納されていても、

本人はまったく気づかなかったというような場合です。

そうすると、形式的には、契約条項をそのまま適用すれば

退去させられることになってしまいますが、

借主と家主との間の「信頼関係が破壊されてしまった」というような事情は

認められませんので、家主側からの契約解除は不可能なのです

共益費

先日、管理会社より、急に共益費が値上げになると連絡がありました。

更新の際に値上げされたという話は聞いたことありますが、

契約期間内でも値上げに応じないといけないのでしょうか?

(回答)

「共益費」というのは、物件の共有部分(廊下・階段・ロビー・管理人室その他)の

維持に必要となる費用(管理人費用・電気代・水道代・清掃費など)を、

あらかじめ、入居者数(および専有面積)で按分して、家主が一方的に定めた費用です。

借主は、家主が一方的に定めた費用の支払いについて、

契約書で合意して入居しているわけです。

したがって、契約期間中は、家主が一方的に定めた費用を支払う義務はありますが、

逆に言えば、期間の途中での値上げは拒否することができます。

契約期間中でも、共益費の値上げに応じなければならないのは、

例えば、家主が関知することができない、電気代や水道代などの公共料金が

大幅な値上げが行われたような場合で、その値上げ分のアップをお願いされたときでしょう。

家賃と共益費の違いは、家賃は、合理的な根拠があろうがなかろうが、

家主が一方的に定めることができるのに対して、

共益費は、「共有部分にかかる実費を入居者数(専有面積割合)などで按分した金額」ですので、

合理的な根拠が必要不可欠だという点です。

今回のケースで言えば、家主側に対して、「共益費の算定根拠を明らかにし、

値上げ額が合理的なものかどうか、そして、従来の共益費が

不合理なものであったかどうかをきちんと確認させてほしい。

支払いたくないのではなく、納得できる説明がほしいのである。」というように主張してください。

そして、家主側から、共益費値上げに応じざるを得ないような特殊な事情

(従来の共益費そのものが実費負担額よりも非常に低い不合理なものであり、

今回の値上げで合理的なものになるということと、それに対する家主側の謝罪、

つまり、間違った請求をしていたために、結果的に、

契約期間中の値上げとなってしまった点についてのもの)があれば、

共益費の「値上げ」にも応じざるを得ないでしょう。