更新手数料2

家主に支払う更新料以外に、管理会社から更新手数料の請求が来た。

そこで、契約時の書類をよくみると、重要事項説明書にはその旨が書かれていた。

このような場合、更新手数料の支払いを拒否することはできないのか?

(回答)

契約更新に当たって、借主が更新手数料を支払う義務はないことは、

上で述べたとおりです。更新手数料の支払い義務に関して、

仲介業者で受けた重要事項説明書で記載されている場合にどうなるかということです。

重要事項説明書というのは、契約前に、借主が契約するかどうかの

重要な判断をするに当たって、必要となる重要な判断ポイントを

記載した文書であり、宅地建物取引業法で定められたものです。

この重要事項説明書に記載されている意味ですが、それは、法律上、

記載が求められた、「賃料以外に授受されるお金」として記載されている

という意味しかありません。それは、借主の利益のために記載されているだけであり、

借主のお金の支払い義務を定めたものではないのです。

逆に言えば、重要事項説明書に記載されていることを盾として、

更新手数料の支払いが義務づけられることはあり得ないのです。

更新手数料1

家主に支払う更新料以外に、管理会社から更新手数料の請求が来た。

契約書のどこにも記載がないので拒否したいのだが、

業者は「更新手数料を支払わなければ更新しない」と言っている。

どうすればよいか?

(回答)

手数料は、本来、業務の依頼をした人が、依頼を受けた人に対して、

その業務量に応じて支払うべきものです。

もともと、契約の更新は、家主と借主との間で行うものですが、

家主が自ら更新手続きを行うことをわずらわしく思い、

家主の代理人として管理会社に業務を委託することがよくあります。

従って、家主は、管理会社に、契約更新の手数料を支払うことになります。

借主の立場から言えば、契約更新の手続きに関しては、誰にも委託したわけでなく、

本来、家主との間で行うべき作業を、家主の代理人である管理会社と

行っているわけですから、管理会社に、更新手数料を支払う理由は一切ないはずです。

管理会社は、更新手数料を家主から受け取ればよいのですが、

中には、家主から得る更新手数料以外に、借主からも何の合理的な理由もなく、

更新手数料を請求している業者もあるのです。

本来、支払うべき理由もないのに、手数料を徴収するというのは、

不当利得に当たりますので、

支払う必要もありませんし、支払った手数料の返還も請求できると思います。

なお、契約書に、更新手数料を支払う旨の記載がある場合はどうなるかということですが、

賃貸借契約書は、家主と借主との間の取り決めですから、そこに記載された

第三者への手数料の支払いは契約内容として有効かどうかという問題があります。

契約書に、更新手数料が明記されている場合についても、

ほとんどの場合、特約としては認められないでしょう。

契約金の支払い1

契約金の残金支払いを入居日直前まで待ってほしいと言ったが断られた。

(回答)

建物の売買契約などでは、当事者双方のリスクを軽減するために、

同時履行と言って、売買代金の支払いと不動産の移転登記手続きを

同時に行うことが多いのですが、賃貸借契約ではどうなのかということがポイントです。

つまり、賃貸借契約においても、「同時履行の抗弁権」を主張できるかどうかということです。

「同時履行の抗弁権」を主張するためには、次の3つの要件を満たす必要があるとされています。

一つ目は、ひとつの双務契約(どちらも何らかの義務を負っている契約)から生じた

双方の債務が存在すること、賃貸借契約は、家主には借主に物件を引き渡す義務があり、

借主には家主に契約金を支払う義務がありますので、これに該当します。

二つ目は、相手方の債務が履行期にあること、

賃貸借契約では、借主の立場からすると、家主の履行期

(=物件の引渡し日=カギ渡し日)はまだ来ていませんので、

この点は要件を満たしていません。

そして、三つ目が、相手方が自己の債務の履行又は履行の提供をせずに

履行を請求してきたこと、つまり、賃貸借契約においては、カギ渡し日を過ぎたのに、

カギ渡しをしないのに、契約金の支払いだけを要求してきたという場合ですが、

これもカギ渡し前ですから、用件には該当しません。

つまり、入居直前まで契約金の支払いを保留するということは、

法律上では認められないということになり、

家主との協議次第ということになるのです。

一般に、家主は、入居直前のキャンセルを恐れるために、

契約金の支払いを早めにしてもらおうとしますので、

どうしても、入居直前まで費用を用意できないのであれば、

その説明をきちんと行う一方で、「キャンセルは行わないし、

万が一契約金の支払い前にキャンセルする場合でも、

契約金は全額支払う」というような念書を家主に提出して

了解を得るというような方法を検討してみてはどうでしょうか?

仲介手数料

業界に詳しい人から、「仲介手数料は、本来、家賃の半額プラス消費税」だと聞いたが、

業者は、「家賃の1か月分プラス消費税だ」と言って譲らない。

業者の言うとおりに従わざるを得ないのか?

(回答)

宅建業法および建設省告示では、居住用の建物の賃貸借契約の媒介を依頼した場合は、

本来、借主の事前の承諾がなければ家賃の半額プラス消費税ですが、

不動産業界の慣習では、事前の承諾の有無に関係なく、

家賃の1か月分プラス消費税というのが実態です。

そこで、業界の慣習に従うか、それとも、法律上の規定どおりの主張をして、

業者とやりあうかは、本人次第ということになります。

法律上は、0.5か月分を上回る分は支払う必要はありませんが、

業者から、「それでは契約できない」と言われれば、行政に訴えるなどして、

一定の手間と時間をかけることになってしまうでしょう。

業者が素直に、「半月分でよい」と言えばよいですが、

「絶対1か月分は必要」と言ってきたときにどうするのかは、

本人の考え方次第でしょう。