手付金

仲介業者に手付金として支払ったが、キャンセルしても返金されない。

(回答)

本来、手付金として受け取ることができるのは、契約の当事者である家主だけです。

仲介業者が便宜的に受け取る場合には、家主からの代理権が必要であり、
家主から、手付金の受領を認めるという委任状等を提示する必要があるとされています。

業者が、家主の代理権を証明するものを提示すれば、仲介業者でも、
手付金として受領することができるので、手付金支払い後にキャンセルする場合には、
解約手付金扱いとなり、手付金の返金は不可能になっても仕方がないでしょう。

ところが、よくあるケースとしては、実際には、代理権そのものを得ずに、
仲介業者が受け取っているケースです。
以前は、仲介業者が、代理権なしに便宜的に手付金を受け取ることも慣習として
黙認されるケースが多かったのですが、最近は、厳密に解釈するようになってきています。

一方、賃貸借契約そのものは、手付金の授受によって成立する
という考え方が多いですので、仲介業者が預かった手付金が家主の元に届けられ、
家主が契約書を発送した(契約の着手と考えられます)あとは、
手付金は、解約手付金として扱われてもおかしくないと思います。

つまり、仲介業者が預かってから一定の期間が経過すれば、
解約手付金として処理されても仕方がないと思います。
 「一定の期間」は、通常、1週間もあれば十分でしょう。

逆に言えば、仲介業者に手付金として支払った場合でも、
正式の代理権がなかったとき(支払い時に代理権を証明するものを提示されなかったとき)は、
支払い直後であれば、キャンセルした場合には、
返金に応じるべきであると解釈されるようになってきたのです。

なお、いずれにしても、手付金として支払う場合には、
「キャンセルする場合には返金されない」ということを覚悟して支払うべきだと思います。
なぜなら、手付金を支払えば、借主だけでなく、家主に対しても強い拘束力があるからです。
安易に、「仮押さえ」するつもりで手付金を支払うべきではありません。

入居申込書2

本人が高齢のため入居を拒否されたが、何とかならないか?

(回答)

平成13年に「高齢者の居住の安定確保に関する法律」が制定され、
高齢者の入居を拒否しない賃貸住宅の登録・閲覧制度や
終身借家制度などが誕生し、高齢者に対する一定の保護が前進しましたが、
いまだに「高齢」を理由とした入居の拒否があとを絶ちません。

現状では、家主の「良心」に委ねるほかなく、
強制的に、入居を認めさせることはできません。
家主を説得したい場合には、行政の窓口で相談し、
家主への説得を行ってもらうという方法も考えられますが、
根本的には、上記の法律で登録された高齢者の入居を
拒否しない賃貸住宅を探すことだと思います。

入居申込書1

入居申込書に書いた内容で入居を拒否されたが、何とかならないか?

(回答)

契約するためには、借主からの「申し込み」に対して、
家主による「承諾」が必要ですが、
家主が承諾しない場合には、契約が成立しません。

日本以外の先進国では、性別・人種・国籍の差別や
その他の合理的な理由がないのに、
入居を断るような場合、民間の家主であっても法律で罰せられる
というケースが少なくありませんが、
日本では、「契約自由の原則」が幅を利かせすぎているのです。

家主が承諾しない理由にはいろいろと考えられますが、
家主には、入居拒否の理由を説明する義務もありませんし、
家主が入居を認めない以上、何ともすることもできないのが現実なのです。