家賃の滞納

契約書には「家賃を1日でも滞納すれば、年利30%の滞納補償金および滞納手数料5000
円を支払うこととする」と書いていたが、うっかりして家賃を所定の期日に振り込まなかった
ところ、管理会社から、「契約違反なので、滞納補償金と手数料を請求する」と言われた。
契約書に明記されていたら、従わざるを得ないのか?

(回答)

「滞納補償金」というのは、「遅延損害金」のことです。家賃のような金銭債務については、
通常は、利息制限法の制限利息の1.46倍までであれば、その約定が認められていますが、
元本10万円未満であれば年20%、同じく10万円以上100万円までなら年18%が制限
利息ですので、約定としては、10万円までの利息は、20%×1.46=29.2%、100
万円までの利息は、18%×1.46%=26.28%以下でなければなりません。

ところが、契約書では、「年利30%+手数料5000円」ということになっていますので、
法律で認められた上限を超えていることになります。従って、法律の上限を超えた部分については、
支払う義務はないということになります。さらに、その契約が2001年4月1日以降に契約され
たものであれば、消費者契約法が適用されますので、消費者契約法第9条によって、年14.6%
を越える部分については、支払う必要がないとされています。いずれにしても、契約書の内容どお
りにする必要はないということです。

共用部分の問題(1)

家主から、「共用部分の清掃を入居者に手分けしてやってもらう」という通告を受けた。
契約書にそういうことは明記されていないが、家主からの通告には従わざるを得ないのか?

(回答)

共用部分の清掃や維持管理のために、「共益費」や「管理費」などの名目で、家主が徴収
していると思います。「共益費は無料」という場合には、家賃に共益費部分も含んでいると
解釈されます。家主は、家賃や共益費を徴収している以上、入居者に使用収益させる義務が
ありますので、共用部分の清掃は、家主が行わなければなりません。まして、契約書に記載
されていないのに、入居者に清掃を求めるとすれば、

家賃や共益費の支払いとの二重負担を求めることになります。従って、家主の言い分は無茶
苦茶な要求ですので、従う必要は一切ありません。しかし、そんな無茶な要求であっても、
家主の要求を受け入れてしまい、共用部分の清掃を行う入居者が出てくると、かえって、入
居者間に不協和音を与えてしまうことになり、結果的に、他の入居者も清掃をやる羽目にな
るかもしれません。そこで、家主の要求が無茶苦茶であり、家主に従う必要もないので、入
居者全員で拒否するように、他の入居者に働きかけたほうがよいでしょう。そして、入居者
の連名によって、家主に対して、「家賃や共益費の負担と合わせて、清掃を求めるのは二重
負担になるため、一切拒否する」という通告を行ったほうがよいでしょう。