不動産広告

(質問)

不動産広告では「徒歩5分」となっていたので契約したが、入居後、実際に歩いたら、
10分以上かかったので、「インチキではないか?契約を解除したい」と言ったところ、
業者は、「人によって歩く速度が違うから仕方ないし、解除するなら、
通常の手続きとなる」と言った。業者に反論することはできないか?

(回答)

どの業者も従うべきとされている「不動産の表示に関する公正競争規約」によれば、
「80メートル=1分」として計算することとされています。
したがって、道路距離(直線距離ではなく実際に歩くことができる道路の道のりを測った距離)が、
「80メートル×5=400メートル」に近くなければ、誇大広告となります。

ただし、坂道や信号等は計算に加える必要はないとされていますので、
広告基準に従っていたとしても、実際に歩くと多少は遠くなってしまうことが多いのです。

ゴミ処理3

(質問)

業者のゴミ回収が夜中に行われるため、騒音で起こされてしまう。
管理会社に苦情を申し入れたが、
「回収ルートと時間が決まっているので我慢してもらうしかない」と言われた。
何とかならないのか?

(回答)

まず、回収時間帯の変更ができないかどうかを、管理会社から、
ゴミ回収業者に申し入れてもらうことが先決でしょう。
それが、まったくだめだという場合には、
どれくらいの騒音なのかによって対応策が異なってくるでしょう。

深夜の騒音については、交通騒音の場合における建物の屋内における
騒音基準というものが定められていますので、
その基準を上回っているかどうかがひとつのポイントになります。

その基準は、夜間(午後10時~翌朝6時)は40デシベル以下というものです。
しかし、実際問題として、ゴミ回収車の騒音が「一瞬の間、40デシベルを越えていた」としても、
その事実を持って、「騒音基準違反である」と言えるかどうかは、判断が分かれるでしょう。

なぜなら、もともと交通騒音の場合には、
しょっちゅう車の往来がある場合の騒音基準であるのに対して、
ゴミ回収車の場合には、ほんの2~3分程度の時間だけのことだからです。

そのことから考えると、多少、ゴミ回収車の騒音が、交通騒音の基準を上回っていたとしても、
受忍限度であると言えるのではないかと思います。

なお、別の角度から、この問題を考えると、同じ物件で、
ゴミ回収車の騒音問題で苦情を言っているのは何人くらいいるのかもポイントになります。
つまり、このような苦情が、非常に限られた入居者だけ(一人だけ)というような場合には、
騒音自体の問題よりも、物音を騒音として捉えてしまうということに問題があるように思います。
音に対して、過剰な反応をしている可能性があるのではないかということです。

もし、そういうことであれば、耳栓をして自己防衛するとか、
一度、病院などで診察してもらって、原因を調べてもらうという手もあります。
そういう問題ではなく、建物の物理的な構造に起因すると考えられる場合には、
窓ガラスを2重窓にしたり、エアタイトサッシに代えてもらったりして、
遮音構造を増強したほうがよい場合もあります。

ゴミ処理2

(質問)

自治体のゴミ回収ではなく、業者による毎日回収をしているが、
毎月「ゴミ回収代」として費用を請求される。自治体なら無料なので、
入居者が費用を負担するのは納得できないのだが‥。

(回答)

このような問題は、本来、契約前に「解決」しておくべき問題です。

学生マンションなどでは、入居者である学生が、
ゴミ出しルールを守らないケースがよくあり、
家主や管理会社が後始末をしなければならないということが少なくありません。

つまり、ゴミ出しルールは、主に次のような5つのルールがあります。
指定されたように分別すること、指定された袋に入れること、
指定された曜日に出すこと、指定時間帯に出すこと、指定の場所に出すこと‥。

しかし、これらのルールをすべて守ることができない入居者が、
一定の割合でいるのが現実でしょう。
仮に、100人が居住しているマンションで、わずか2~3名のルール違反者がいても、
結果的にゴミが散乱してしまい、近隣からの苦情に発展することになるのです。

そこで、このような現実を背景に、最初から、民間のゴミ回収業者と契約し、
「毎日回収」を行っている学生マンションがあるのです。
そして、入居者には、ゴミ回収費用として按分負担してもらっているのです。

問題は、このような点については、契約前の重要事項説明で、
必ず説明されているはずですので、万が一、説明がなかったとすれば、
仲介業者の責任ですが、学生が契約する場合、多くの場合、
重要事項説明を熱心に聞いているのは保護者であり、
本来、きちんと内容を把握しておくべき本人(学生)は、
「すべて親任せ」というような態度で、重要なポイントも聞き漏らしていることが
少なくないのが現実なのです。

相談者が、「聞き漏らしていた」かどうかはわかりませんが、
そういうようなことはなかったかどうかを確認してみることが必要です。

契約期間中に、自治体回収から、業者回収に切り替えになった場合にも、
家主や管理会社が一方的に「悪い」とは言えないでしょう。
それだけのメリットを入居者が受けるわけですから、
負担する費用が許容範囲内(日額30~50円として
月額1000~1500円程度)であれば仕方ないのではないでしょうか?

しかし、一方で、費用負担以外については、別の問題を指摘する声もあります。
つまり、自治体回収では、分別回収が義務付けられているにもかかわらず、
業者回収の場合、多くは分別しないため、ゴミを出すほうは気楽なのですが、
ゴミの捨て場所の負担が増えたりして環境問題を悪化させる元となったり、
入居者の環境マインドを醸成しないなどの点で問題ありという声もあるのです。

ゴミ処理1

(質問)

ゴミの回収ルールを守らない入居者がおり、いつもゴミ回収場所がゴミで散乱してしまう。
近隣からも苦情が来るので、家主に苦情を申し立てたところ、
家主は、「ゴミ回収は入居者同士で話し合って解決してほしい」と言って取り合ってくれない。
今は、入居者の有志で後始末をしているが、何とかならないものか?

(回答)

家主の考え方が間違っていると思います。分譲物件と勘違いしているのでしょう。

分譲マンションなどでは、それぞれの入居者自身がオーナーであり、
管理責任者ですので、入居者同士が話し合って解決するしかありません。
そのために管理組合を結成するのです。

しかし、賃貸物件においては、それぞれの入居者はオーナーではありません。
管理責任も自分が借りている部分のみです。

ゴミ回収場所のような共用部分については、
その管理は、管理責任者である家主自身が行うべきなのです。
便宜上、入居者が共同管理しているような場合にも、
それは自主的なものであり、管理責任は、あくまで家主にあるのです。

家主は、家賃という対価を得て、他人に物件を貸している以上、
入居者に使用収益させる義務があるのです。
ゴミの回収を入居者にきちんと行わせ、ゴミの散乱を防止し、
それでもゴミが散乱して誰も後始末をしないような場合には、
家主がきちんと後始末をしなければならないのです。

そこで、入居者の連名で、家主に対して、
「家主には、入居者に対して使用収益させる義務があると同時に、
共用場所をきちんと維持する義務があるので、ゴミが散乱している場合には、
家主自身の責任で解決に当たってほしい」と言ってください。

定期借家契約での途中退去3

(質問)

定期借家契約で一戸建ての借家(延べ面積250平方メートル)を借りていたが、
このたび、老親が倒れて寝たきり状態になってしまった。その介護のため、
急きょ、実家に帰らざるを得なくなり、家主に契約解除を申し出たが、
「定期借家契約なので途中解約はできない。どうしてもというのなら、
契約期間終了までの家賃を支払ってから退去してくれ」と言ってきた。
家主の主張は横暴だと思うので、支払いに応じたくはないのだが‥。

(回答)

一般の定期借家契約(床面積が200平方メートル未満)なら、
「親族の介助」により、借りている物件に住めなくなった場合には、
借主の途中解約を認めています。

ところが、200平方メートル以上の物件の場合には、
解約権が認められていないのです。一般的に考えても、
借家で200平方メートル以上というのは、非常にまれなケースであり、
そういう物件を借りる場合には、かなり高額な家賃が予想されますし、
また、大勢で住んでいる可能性もあります。

借地借家法で規定している「転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情」と
いうような事情があったとしても、法律で規定しているところの
「自己の生活の本拠として使用することが困難」なのは、
住んでいる人の一部だけだと考えられます。

そこで、このように広い物件を定期借家契約で借りている場合には、
借主の途中解約権を認める必要性は少ないということから、
床面積の制限が設けられたのではないかと考えられます。
いずれにしても、家主の主張は法的に正しいものですので、
その点を念頭において、妥協点を探るようにしなければならないでしょう。

定期借家契約での途中退去2

(質問)

定期借家契約でワンルームマンションを借りていたが、
このたび、病気により、急きょ、長期入院することになったので、
家主に契約解除を申し出たが、「定期借家契約なので途中解約はできない。
どうしてもというのなら、契約期間終了までの家賃を支払ってから退去してくれ」と言ってきた。
家主の主張は横暴だと思うので、支払いに応じたくはないのだが‥。

(回答)

「病気療養」は、借主が解約する条件として認められています。
また、ワンルームマンションということですので、
「200平方メートル未満」のはずですので、問題なく解約することができます。
家主に、借地借家法の規定を説明し、了解を得るように説得してください。

入居者の死亡1

(質問)

先日借家で一人暮らしをしていた祖母が亡くなると大家さんの態度は急変し、
敷金の返還はもちろん拒否し、遺族が1~2年家賃を払い続けてほしい・・・と言うのだが、
そこまでしないといけないのか?

(回答)

借家人が死亡した場合、
一般の賃貸借契約(「高齢者の居住の安定確保に関する法律」による特別な契約は別)では、
遺族が、借家人の権利義務関係をそのまま引き継ぐのが原則です。
したがって、解約の手続きを行わなければ、いつまでも家賃を支払い続ける義務がある一方、
敷金の返還請求権があります。

住む必要がないと思いますので、相続権を持っている人全員の意思を代表して、
相続人の一人が家主と交渉し、契約解除の手続きを行ったほうがよいでしょう。
なお、当然ながら、無駄な家賃を支払い続ける義務はありません。

家賃の違い4

(質問)

家賃そのものではないが、後から入居した人が、
礼金を一切支払わずに入居していることを知った。
そこで、家主に、「礼金を支払わずに入居した人もいるので、
自分が支払った礼金を返却してほしい」と言ったが、拒否された。
何とかならないか?

(回答)

礼金というのは、法律上、何の決まりもないお金であり、
地域の慣行によって徴収しているに過ぎませんし、
契約後は、返却されないのがふつうです。

そして、契約時に、礼金の支払いを条件として契約しているわけですので、
あとから、返却を求めても、それが認められるわけはありません。

それに、礼金自体、他の物件との競争上、あるいは、時期によっては、
徴収しないケースもよくありますので、
他の人が礼金を支払わずに入居していたとしても、それを根拠に、
礼金の返却を求めることはできません。

他の入居者との家賃の違い3

(質問)

同じ条件で入居していた人が、家主との交渉で、家賃の値下げをしてもらったという。
そこで、同じように、家主に交渉したところ、
「家賃の値下げをした人がいるからといって、事情も違うし、
同じように家賃の値下げに応じるつもりはない。」と一蹴されてしまった。

「では、その事情を教えてほしい」と言ったが、
それも、「個人のプライバシーに関わることなので話すことはできない」と言われた。
自分だけ、家賃の値下げをしてもらえないのは、不公平だと思うのだが、何とかならないか?

(回答)

借主には、家賃の値下げを要求する権利はあります。
しかし、どんな場合にも、家賃の値下げを要求できるわけではなく、
あくまで、不合理な家賃となった場合には、それを是正する権利があるに過ぎません。
家賃の値下げを勝ち取った人がいるからといって、
誰も彼もが同じように家賃の値下げをする権利があるわけではありません。
そして、家主が主張しているように、ほかの人の家賃を下げた理由について、
第三者(ご相談者)に説明しなければならない義務があるとはいえません。

家賃の値下げを要求したいのであれば、他の人の家賃値下げに関係なく、
ご相談者自身の部屋の家賃が不当に高くなっているということをきちんと説明し、
家主に家賃の値下げを受け入れてもらえるように交渉しなければなりません。

他の入居者との家賃の違い2

(質問)

入居中、同じ間取りなのに、他の人よりも家賃が高いことがわかった。
そこで、家主に、「同じ間取りで安い家賃の人もいるので、
それに合わせて値下げしてほしい」と言ったが拒否された。

(回答)

借地借家法第32条では、
「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、
土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、
又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、
当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。」としています。
つまり、法律上、家主にも、借主にも、家賃を増減する権利が認められているわけです。

「同じ間取りで」ということは、
「近傍同種の建物の借賃」ということと同じようにみなすことができますので、
同じ間取りにもかかわらず、ご相談者の部屋の家賃があまりにも高すぎる
というような場合には、「家賃を下げてほしい」という要求をすることができます。

しかし、「たまたま同じ間取りなのに家賃が安い人がいる」のか、
それとも、ご相談者の部屋のみが高すぎるのかによっても、
家主の対応は異なってくるでしょう。

また、たとえ、同じ間取りであっても、所在階や窓向きなどによっても、
家賃が異なるケースはよくありますので、誰が考えても、
不合理なほどの家賃の開きがあるかどうかがポイントになるでしょう。
もし、誰が考えても、不当なほどの家賃の開きがあるのなら、
家主に率直に家賃の値下げをお願いしてみてはどうでしょうか