隣室から、まるで壁がまったくないように、会話する声が「普通に」聞こえてくる。
欠陥建築ではないかと思い、家主に思い切って苦情を申し出たら、
家主は、「そんなはずはない。大手のゼネコンの設計施工だし、
建築基準法もクリアーしている。
共同住宅では、お互い我慢する必要があるんだ」と、逆にお説教されてしまった。
建築基準法では、「音」の問題について、どのように規定しているのでえしょうか?
(回答)
建築基準法第30条では、共同住宅の各戸の界壁について、
「政令で定める技術的基準に適合するもの」としており、
その施行令(第22条の3)によると、
振動数125ヘルツで透過損失25デシベル、
同じく振動数500ヘルツで40デシベル、
2000ヘルツで50デシベル以上と定めています。
たとえば、隣室で大きな声(80デシベル)で話した場合、
透過損失が25デシベル以上であるので、55デシベル程度に聞こえたとしても、
建築基準法上は問題なしとされてしまうのです。
ちなみに、30~40デシベルは「ささやき(静か)」、
50~60デシベルは「普通の会話(日常の騒音)」、
70~80デシベルは「大きな咳払い、子供の泣き声など(うるさい)」状況を
表しています。
もともと、日本の在来建築は、「遮音構造」には無頓着であったことと、
建築基準法そのものが、「最低基準」を示したものであるため、
「建築基準法をクリアーした欠陥構造」があふれかえっているのです