設備の不良1

入居後、給湯器が故障しているので、家主に修繕を求めたが、
「契約書に『‥給湯器などの故障の修繕費用は借主負担とする』と
書いている通り、自分で修繕してください」と言われた。
契約書に署名している以上、従うしかないのでしょうか?

(回答)

民法上、家主には、家賃という対価を得ている以上、
借主に使用収益させる義務がありますので、
そのための修繕義務を負っています。

しかし、本来、家主が負担すべき修繕義務であっても、
特約で借主負担とすること自体は、契約自由の原則の一環として、
認められていることです。

もともと、家主と借主の立場が対等平等ではなく、
家主が一方的に定めた契約事項を、
借主が受け入れるかどうかだけの選択肢しかありません。

そこに、契約自由の原則を無限定に適用していると、
借主が一方的に不利な特約ばかりが横行してしまい、
社会としての公正・公平・平等という価値観が守られなくなります。

そこで、特約としての「借主の修繕負担義務」の解釈としては、
家主の修繕費用負担義務を免除するに過ぎず、
借主の費用負担を求めるためには、
「特段の事情」が必要とされているのです。

「特段の事情」とは、たとえば、ほとんどただ同然で貸していたなど、
家主負担とするのがかえって酷になり、
一方で借主負担としてもやむをえないというような事情です。

逆に言えば、「特段の事情」がなければ、給湯器のような設備機器に
修繕が必要になったような場合には、
家主負担で修繕すべきであると考えられています。

なお、2001年4月以降は、消費者契約法が施行されていますので、
それ以降の契約である場合には、
このような「修繕費用の借主全額負担特約」は、
消費者契約法第10条に違反しており無効であるとされています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です