入居時のカビについての費用請求について

入居したときから、浴室にカビが生えていて、そのままにしていたところ、退去時に、「カビが生えているのは、きちんと清掃せずにいたから」として費用請求されました。ただ、カビの原因は、建物の構造上の問題であることが多いので、支払を拒否したいのですが、認められるでしょうか?

カビの原因には、入居者の管理上の問題である場合もありますが、通常は、建物の構造上の問題から発生することが多いのです。

例えば、鉄筋コンクリート造の建物の場合、コンクリートの含水率が落ち着くまでに数年以上かかるといわれていますので、その間、水分が出続けます。また、窓ガラスが薄い1枚ガラスの場合が多いので、どうしても、冬場に窓ガラス周辺に結露が起こり、それが原因となってカビがはえてくることもあります。さらに、内断熱構造が多いので、躯体内で結露が発生するケースもよくあるのです。

従って、通常は、カビが生える原因は入居者に責任があるケースはそれほど多くないのです。

ところが、問題はここからです。

入居者には、カビが生える原因がないために責任もない場合でも、カビをそのまま放置しておくと、カビがどんどん広がり、躯体内などにも進入していくので、建物が傷みやすくなります。そういう状態になってくると、入居者は、善良なる管理者の注意義務違反ということになってしまうのです。

つまり、「カビが生えた責任は入居者にない場合でも、カビを放置した責任は問われる」ということです。

そこで、回答としては、支払拒否は認められない可能性が強く、借主の主張は認められないということになります。