テナント入居時のトラブル

「保証金」と「敷金」は法的に同じものか、違いはあるか?

保証金をめぐってのトラブルも数多い。
なぜなら、保証金の法的な性質がななり曖昧であるためです。

「敷金」というのは、借主の家賃やその他の借主側の債務を担保するために
支払われる金銭です。敷金は契約が終了して明渡をした時点で、
賃料の滞納分や借主が支払わなければならない何らかの金銭のすべてを差し引いて、
残金があれば借主に返還されなければなりません。

オーナーは家賃の滞納などがあった場合、当然敷金から差し引くことができます。
賃借人の債務を敷金から差し引いて残高があれば、
賃借人に返却すればそれで良いのです。

その敷金を第三者から差し押さえられたり、
債権譲渡されたりしても、もともと敷金というのは
貸主の債権を担保するために預かっているお金であるため、
最優先で貸主の債権を敷金から差し引くことができます。
このように敷金についてはその定義が明確になっています。
敷金に対して、第三者が債権譲渡などを主張してきても
何も恐れる必要はありません。

問題は保証金です。保証金も預り金と考えるのが一般的です。
ところが、保証金は敷金と同じ性質のものではありません。
ビルの大小、契約の形態などで、それぞれ保証金の扱いが
異なってくるからです。 また、地域によっても違いがあります。

保証金の性質は敷金のように明確でないために、
保証金をめぐってのトラブルは非常に発生しやすい。
確かに保証金も敷金と同じように、貸主の債権担保のために
預かるお金という意味合いも持ちます。
ところが、それと当時に、借主が貸主に対してお金を貸し付けるという
金銭の消費貸借の性格もあります。
つまり、借主が貸主に金銭を貸しているとも考えられるのです。

敷金はせいぜい賃料の数ヶ月分である。
多額の敷金でも、20ヶ月分でしょう。
敷金を預かっても建築費用の捻出はできません。
そこで建設協力金という言葉が使われて、
建設協力金として保証金を差し入れるようになったのです。

保証金を賃貸借契約書の中に含むケースもあるし、
金銭消費貸借という全く別個の契約として
借手のテナントが家主にお金を渡すこともあります。

保証金は権利金と異なり、将来的に返還義務が伴うのが常識です。
ただし、各情況によって保証金の取り扱いは異なります。