[TBS]-民法改正で変わる生活、「敷金」返還スムーズに

民法改正で変わる生活、「敷金」返還スムーズに

私たちの生活に密着したルールが、まもなく変わろうとしています。例えばマンションの契約、DVDのレンタル、また飲食店のツケ払いに至るまで、生活の基本的なルールを定めている「民法」が120年ぶりに大改正。どのように変わるのでしょうか。

 おりしも引越しシーズン。男性が不動産業者と下見に訪れたのは都内にある築36年の物件です。

 「結構きれい、古いけど」(男性)
 「しっかりメンテナンスしてます」(業者)

 家賃は8万5000円。敷金・礼金は、それぞれ家賃の1か月分です。

 「退去の際にはクリーニングを行うので、敷金から通常であれば引かれるケースがほとんど」(業者)
 「どのくらい引かれる?」(男性)
 「こちらの広さだと半分以上は引かれる」(業者)

 「敷金」はアパートやマンションを借りるときに、貸主に預けるお金です。これは退去時に返還されるべきものですが、実際には住宅の「原状回復」の費用にあてられることが多い。「原状回復」の対象は、例えば「壁の落書き」のほか、経年変化による「長年置いていた家具のへこみ」や「日焼けによる壁紙の変色」も含まれます。

 この「敷金」をめぐっては、トラブルが後を絶ちません。国民生活センターによりますと、退去時「お金が戻ってこない」などの相談が年間およそ1万件以上寄せられています。

 都内在住の男性。1年ほど前、借りていた住宅を退出する際、貸主側から20万円以上請求されたといいます。

 「通常に(普通に使って)3年住んでいたという認識だった。数万円だと思っていたが、予想の2倍、3倍の請求額だったので驚いた」(敷金トラブルに遭った男性)

 その後、貸主側と交渉を重ね、男性が10万円を支払うことで和解したといいます。

 なぜ、こうしたトラブルが起こるのでしょうか。生活の基本的なルールを定めているこれまでの民法には、「原状回復」についてルールがないためです。そこで、今回の民法改正案では、「敷金」は契約の終了時、つまり引っ越す際に原則として「返還する」と明記されました。「経年変化」は貸主側の負担で直すことになりました。

 一方、「壁の落書き」などは、通常の使用による汚れを超えていると判断され、借主側の負担となりそうです。

 物件を探す人たちは・・・
 「借りる側も貸す側も、スムーズに物事が運ぶと思うのでルールはあった方が良い」
 「『こういうルールがあるから、してはダメ』とか自分の中で(判断)できるので、ルールはあった方が良い」

 不動産賃貸における「敷金」のトラブルについて、弁護士と協力し、解決にあたっている男性は・・・

 「『ハウスクリーニングはこの単価が妥当だ』と (民法に)書いているわけではないので、契約の時点でしっかり借りる人も、よくよく理解して契約しないと」(日本敷金診断士協会 土川保常務理事)

 不動産業者は今回の民法改正について・・・

 「消費者の意識が、今回の民法改正によって大きく変わることが予想される。民法改正後、敷金についてより一層細かく消費者に説明していく義務がある」(ietty 小川泰平社長)

 未払い金の「時効」に関するルールも変わります。これまで「飲食店のツケ払い」や滞納している「レンタルDVD代」などは1年で「時効」を迎えるなど、業種によってバラバラだった時効を原則5年に統一します。

 「1年で時効になるのが5年に。それなら賛成。時効は本当にありえない。借りた物は最後まで返さなくちゃ。お金ないなら飲まない方が良い 」(飲食店経営)
 「1年間で取れなかったツケを5年間追いかけ続けて取れるかと言ったら、相手の会社が潰れたりとかそうなるとあまり(改正も)意味がないかも」(飲食店経営)

 民法の改正案は、いまの国会での成立を目指すといいます。そして、2018年ごろまでに施行される見込みです。(05日23:13)

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