消毒料を支払えと言われたが、支払う必要があるのか?

(質問)

消毒料を支払えと言われたが、支払う必要があるのか?

(回答)

家主が請求するにしろ、仲介業者が請求するにしろ、
どちらにしても支払う必要はありません。
家主には、家賃という対価を取って他人に物件を貸す以上、
借主に「使用収益させる義務」があります。

つまり、借りる人が、安全快適に生活できるようにするのが家主の務めなのです。

従って、万一、「消毒しないと住めない」状態であるなら、
家主の費用と責任で消毒すべきなのです.

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<契約金の支払い>(1)

(質問)

契約金の残金支払いを入居日直前まで待ってほしいと言ったが断られた。

(回答)

建物の売買契約などでは、当事者双方のリスクを軽減するために、
同時履行と言って、売買代金の支払いと
不動産の移転登記手続きを同時に行うことが多いのですが、
賃貸借契約ではどうなのかということがポイントです。

つまり、賃貸借契約においても、「同時履行の抗弁権」を主張できるかどうかということです。

「同時履行の抗弁権」を主張するためには、
次の3つの要件を満たす必要があるとされています。

ひとつは、ひとつの双務契約(どちらも何らかの義務を負っている契約)から
生じた双方の債務が存在すること、
賃貸借契約は、家主には借主に物件を引き渡す義務があり、
借主には家主に契約金を支払う義務がありますので、
これに該当します。

二つ目は、相手方の債務が履行期にあること、
賃貸借契約では、借主の立場からすると、
家主の履行期(=物件の引渡し日=カギ渡し日)はまだ来ていませんので、
この点は要件を満たしていません。

そして、三つ目が、相手方が自己の債務の履行又は
履行の提供をせずに履行を請求してきたこと、
つまり、賃貸借契約においては、カギ渡し日を過ぎたのに、
カギ渡しをしないで、契約金の支払いだけを要求してきたという場合ですが、
これもカギ渡し前ですから、用件には該当しません。

つまり、入居直前まで契約金の支払いを保留するということは、
法律上では認められないということになり、
家主との協議次第ということになるのです。

一般に、家主は、入居直前のキャンセルを恐れるために、
契約金の支払いを早めにしてもらおうとしますので、
どうしても、入居直前まで費用を用意できないのであれば、
その説明をきちんと行う一方で、「キャンセルは行わないし、
万が一契約金の支払い前にキャンセルする場合でも、
契約金は全額支払う」というような念書を家主に提出して、
了解を得るというような方法が必要です。

礼金が高額なので支払いたくないのですが。

(質問)

礼金が高額なので支払いたくないのですが。

(回答)

礼金というのは、法律上、特に規定のないお金です。
礼金のやり取りは、単なる慣習に過ぎません。
問題は、家主が礼金の支払いを求め、借主がそれを拒否した場合に、
家主が契約を拒否するだろうということです。
借主にも、物件を選ぶ自由があるのに対して、
家主は、誰と契約するかの自由があるのです。

従って、「礼金が高額なので支払いたくない」と言っても、
家主が認めてくれなければ、契約できないだけなのです。
契約そのものを強制することはできないからです。

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(質問)

保証金と敷金は、どのような違いがあるのか?

(回答)

保証金と敷金の違いとしては、実態としては、
ほとんど同じような意味で使われていることが多いのですが、
厳密に言えば、次のような違いがあるとされています。

1  保証金は、事務所、店舗やテナントなどの主に法人契約によく使われ、
敷金は、個人の住居の契約によく使われています。

2  保証金は、約定によって、
退去時に敷引き(解約引き、償却などと呼ぶ場合もあります)があることが多いのに対し、
敷金は、通常、敷引きがなく、実費精算です。

3  保証金は、法律上規定のないお金ですが、
敷金は、民法第316条,第619条などに規定のあるお金です。
ただし、判例では、敷引きのない保証金は「敷金」と同じ扱いとなっているようです。

4  保証金は、約定がないと権利の承継がありません(次の家主に引き継がれない)が、
敷金は原則として新しい家主にも引き継がれます。

5  保証金=敷金+礼金という解釈もあります。
つまり、保証金方式をとっている場合には、同時に、敷引きなどがある代わりに、
礼金を取ることがなく、敷金方式をとっている場合には、敷引きがない代わりに、
礼金を取る地域が多いということです。