「原状回復義務」というものが、いつ発生するのかを考えれば、
家主の主張が間違っていることは明らかです。
時系列から言えば、
「契約期間終了」→「物件明け渡し義務発生」=「原状回復義務発生」
となるのです。
つまり、原状回復義務は、契約期間が終了しなければ、
そもそも発生しない義務なのです。
また、借主は、契約期間中、使用収益する権利を持っています。
(家主から見れば、使用収益させる義務)が、
契約期間中に原状回復期間を含めるとすれば、
契約期間中にもかかわらず、使用収益することができなくなりますので、
使用収益することができない期間については、
家賃を支払う義務が免除されます。
いずれの見方からしても、契約期間に、
原状回復期間を含めるのは不当だということがお分かりでしょう。
従って、「契約期間に原状回復期間を含める」こと自体が不当ですので、
このような契約内容自体、不当な契約内容であり、公序良俗に反する規定
(使用できないのに家賃を支払うことになるため)であり、
無効といえるでしょう。
2001年4月以降に契約した場合には、消費者契約法によって、
「消費者の利益を一方的に害する条項」としても無効となります。
そこで、契約期間中は退去する義務がありませんし、
家主の主張に従って退去したとしても、
その期間中の家賃は支払う必要はありません。