契約の成立5

申込書を提出し、手付金も支払い、その後、契約金の残金も支払っていたが、
たまたま他に条件のよい物件が見つかったので、家主に、
「ある事情から解約したい。まだカギ渡ししていないので、法的には、
『契約の履行の着手』前であるので、手付金の放棄で解約する」という連絡を行った。

しかし、家主は、「契約金をすべて受け取っているので、手付金の放棄だけでは解約できず、
礼金も返せない」と言ってきた。このような場合、礼金の返還はしてもらえないのか?

(回答)

前回でも述べているように、借主が手付金の放棄で解約できるのは、
契約の相手側(家主)が「契約の履行に着手するまで」とされています。
そして、家主の「契約の履行に着手」することは、カギ渡しが代表例とされています。

今回のケースでは、借主としては、契約の履行への着手行為として、
契約金のすべてを支払っていますが、契約の相手側の家主は、
まだ契約の履行に着手しているとは言えないというのが一般的な解釈ですので、
手付金の放棄で解約できることになります。

しかし、契約金の残金まで支払っていながら、
「他に条件のよい物件を探していた」という行為自体は、
家主に対する裏切り行為ではないでしょうか?

つまり、判例などによれば、手付金の放棄だけで解約することはできることになりますが、
家主のリスク(次の入居者を急きょ探すことになるため、
すぐに入居者が見つからない可能性がある)を考慮すれば、
礼金の一部は支払ってもよいと思います。

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